■第三者行為災害と示談について
■第三者行為災害と示談について
こんにちは。
社会保険労務士 沖本事務所です。
第三者行為災害について、当事者間で示談にて解決する場合もあるかと思います。
示談とは民事上の裁判によらずに当事者間で解決する契約のことを言い、被害者と加害者との間で示談が成立し、次に掲げる事項の全部を充たしている場合には保険給付は行われないこととされています。
【昭38.6.1基発687】
- 当該示談が真正に成立していること。
次のような場合には、真正に成立した示談とは認められません。- 当該示談が錯誤(民法第95条)、または心裡留保(民法第93条)に基づく場合
- 錯誤:簡単に言うと「勘違い」です。
- 心裡留保:簡単に言うと「本心とは異なる」ことです。
- 当該示談が詐欺または強迫(民法第96条)に基づく場合
- 当該示談が錯誤(民法第95条)、または心裡留保(民法第93条)に基づく場合
- 当該示談の内容が、受給権者の第三者に対して有する損害賠償請求権の全部のてん補を目的としていること。
示談の注意点
例えば、労災保険への請求を行う前に100万円の損害額で以後の全ての損害についての請求権を放棄する旨の示談が真正に成立し、その後に被災者等が労災保険の給付の請求を行った場合、仮に労災保険の給付額が将来100万円を超えることが見込まれたとしても、真正な全部示談が成立しているため、労災保険からは一切給付を行わないこととなります。
ただ、個人的見解としては、真正に示談が成立し、労災保険給付を行わないとすると、示談の時点で予見できない二次的な症状が発生した場合の保護に欠けると思うのですが・・・・。
いずれにしましても、示談は性急に行わず、後遺症の交渉等慎重に行うべきと考えます。
なお、第三者行為災害における示談は人身事故を対象にしていますので、物損事故や慰謝料について示談をしても労災保険給付には影響しません。