■自殺は労災として認められるか その2
■自殺は労災として認められるか その2
こんにちは。
社会保険労務士 沖本事務所です。
前回に続き、自殺と労災の関係についてのお話しです。
「心理的負荷による精神障害等に係る業務上外の判断指針について」(平成11年9月14日基発第544号)において、「業務上の精神障害によって、正常の認識、行為選択能力が著しく阻害され、又は自殺行為を思いとどまる精神的な抑制力が著しく阻害されている状態で自殺が行われたと認められる場合には、結果の発生を意図した故意には該当しない」と示されました。
業務上外の判断について、上記判断指針では次の要件を示しています。
- 対象疾病に該当する精神障害を発病していること。
- 対象疾病の発病前おおむね6か月の間に、客観的に当該精神障害を発病させるおそれのある業務による強い心理的負荷が認められること。
- 業務以外の心理的負荷及び個体側要因により当該精神障害を発病したとは認められないこと。
心理的負荷の強度は、自殺した労働者がその出来事とその後の状況を主観的にどう受け止めたかではなく、同種の労働者一般的に道化とめたかという観点から評価されます。
「同種の労働者」とは、職種、職場における立場や職責、年齢、経験が類似する人を指します。
また心理的負荷強度については、「心理的負荷による精神障害の認定基準について」(平成23年12月26日基発1226第1号)の「業務による心理的負荷評価表」に強度Ⅰ(弱)~強度Ⅲ(強)の業務上の出来事が具体的に示されています。