■雇用保険:同居親族の「利益を一にする」の一つの事例
■雇用保険:同居親族の「利益を一にする」の一つの事例
こんにちは。
社会保険労務士 沖本事務所です。
同居の親族が雇用保険に加入するためには、その親族以外に雇用保険に加入する労働者がおり、その労働者と比較して賃金が異常に高くないであるとか、その労働者と同様の労務管理をされている等の「労働者性」が必要とされます。
ただし、その同居親族が労働者性の条件に合致する場合でも、経営者と利益を一にする場合は労働者性を否認される可能性があります。
次のケースは、労働基準監督署の職員の方にお伺いしたお話しです。
ある会社で家族を従業員として雇用し、10年以上雇用保険に加入しています。
しかしながら、経営が苦しいため、顧問税理士と相談し、一旦給与を支給するが、その後給与を返金してもらい会社がその家族に対して借金をしているという形にしていたそうです。
税務的にはそれでよいのでしょう。
ただ、労働基準監督署の職員さんの意見として、給与を支給しておきながら後で全額を返金してもらうことは、家族だからできることであって、つまり経営者と利益を一にする行為に該当する可能性があり、労働者に該当せず雇用保険の被保険者になれないと考えられるとのことでした。
労働者ではなかったと判断されれば、過去に遡及して労働保険の申告を修正する必要があります。
失業等給付は当然貰えません。
社会保険はどうでしょうか。
年金事務所に確認を取ったわけではありませんが、社会保険も「事実上の使用関係」に基づき判断するとされていますので、給与を支給するも結局全額を返金するのであれば使用関係がないと判断される可能性がありますね。
従業員の労務管理については、社会保険労務士を交えていただければと思います。
労働保険の加入条件については、「雇用保険の被保険者(同居の親族のみ)について」をご参照ください。
労働保険の修正申告については、「雇用保険被保険者資格取得の手続が漏れていた場合」をご参照ください。