■労災:後から業務上だと従業員が主張してきた場合
■労災:後から業務上だと従業員が主張してきた場合
こんにちは。
社会保険労務士 沖本事務所です。
従業員が重量物を搬送し、数日後に重量物の搬送が原因で腰の骨に亀裂が入ったと主張してきました。
このような場合、業務上災害となるのでしょうか。
業務上災害と認められるための要件は次のとおりです。
- 業務遂行性
労働者が労働契約に基づいて使用者の支配下にある状態
- 業務起因性
業務に内在する危険因子、過度の肉体的精神的負担等の諸因子が認められ、これらの因子に暴露された事実と同因子により医学的症状が形成されること
結論としては、上記ケースでは重量物を搬送していた時点で腰に違和感がある等の主張を労働者が行っていない場合は、業務上災害と認められない可能性があります。
労災の申請書に「現認者」を記載する欄があるのは、被災者が主張する医学的症状が労働時間中に発生したことを証明するという意味であり、重量物搬送時には何も主張せず、数日経過してから腰痛を主張しても、労働時間以外の事由で腰痛が発生している可能性が否定できないためです。
なお、腰痛についての厚生労働省の指針については「こちら」もご参照ください。
【2014年10月7日追記】
労働者が事後に労災と主張し現認者がいない場合でも、労働者の主張が明らかに正しいと判断できる場合は、労災申請に会社の印鑑を押し、労働者から提出してもらうことは全く問題ありません。
また、労働者としても、会社が押印してくれない場合は、会社印なしでも提出することは可能です。
この場合は、所轄労働基準監督署が労働者・会社双方の主張を判断し、決定することになります。