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■皆勤手当と有給休暇

■皆勤手当と有給休暇

こんにちは。
社会保険労務士 沖本事務所です。

本日は引き続き有給休暇の話ですが、1か月休まなければ定額の手当を支払う、いわゆる皆勤手当について、有給休暇を取得した場合に皆勤ではなかったとして手当を支給しないことができるか、についてです。

結論としては、個別判断による、となります。

先ず、労働基準法第136条は次のように規定しています。

【労働基準法第136条】
使用者は、第39条第1項から第3項までの規定による有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならない。

有給休暇を取得することで皆勤手当を支給しないことが、労働基準法第136条に違反するかが問題になります。

これについて注目するべき判例があります。

皆勤手当について、「年次有給休暇を含む欠勤を1回すると半額、2回以上は不支給とする労働協約が無効とはいえない」とされました(沼津交通賃金請求 平成4(オ)1078 平成5年6月25日 最高裁判所第二小法廷)。

この裁判では次の3点がポイントとされています。

①皆勤手当を創設した趣旨・目的
②社員に与える経済的影響の程度
③有給の取得に対する事実上の抑制力の強弱

上記3点について、判決では次のような見解となっています。

①皆勤手当を創設した趣旨・目的

  • タクシー業者の経営は運賃収入に依存しているため自動車を効率的に運行させる必要性が大きく、交番表が作成された後に乗務員が年次有給休暇を取得した場合には代替要員の手配が困難となり、自動車の実働率が低下するという事態が生ずる。

  • このような趣旨で、年次有給休暇取得を避ける配慮をする乗務員について皆勤手当を支給することとしたと解釈される。

  • これは、年次有給休暇の取得を一般的に抑制する趣旨に出たものではないと見るのが相当である。

②社員に与える経済的影響の程度

  • 皆勤手当の額の給与支給月額に対する割合は、最大でも1.85%にすぎなかったので、経済的影響は少ない。

③有給の取得に対する事実上の抑制力の強弱

  • 以上のことから、今回の件については有給の取得を抑止する力は大きくなかった。

重ねて申し上げますが、「今回の件」については労働基準法違反を問われなかっただけであって、また判決文中でも「労働基準法第39条及び第136条の趣旨からして望ましいものではない」とされていることから、慎重に判断する必要があります。

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